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京都大学アジア研究教育ユニット(
KUASU)
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■研究会・セミナー等のお知らせ
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研究会・セミナー等のお知らせ
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【Étienne de la Vaissière教授特別講演会のご案内(Novemver 5 2024 @ U-Tokyo)】
このたび、フランス社会科学高等研究院(EHESS)
のエチエンヌ・ド・ラ・ヴェシエール(Étienne de la Vaissière)教授をお招きし、
特別講演会を開催する運びとなりました。
ド・ラ・ヴェシエール教授は、ソグド文化の第一人者として世界的に知られる研究者です。社会科学高等研究院にて「中世中央アジア社会:移動と文化変容」講座を主宰し、トルコ・オスマン・バルカンおよび中央アジア研究センター(Centre d’études turques, ottomanes, balkaniques et centrasiatiques: CETOBaC)の主要メンバーでもあります。主な著書として、 Histoire des marchands sogdiens (2002; 影山悦子訳『ソグド商人の歴史』岩波書店、2019年(改訂版からの邦訳))、Samarcande et Samarra: Elites d’Asie centrale dans l’empire Abbasside (2007)、および Asie centrale 300-850: Des routes et des royaumes (2024)があります。
なお、本講演会は、京都大学白眉研究課題 「内陸アジアにおける書写文化の急発展と諸胡の興起 」(代表:CHING Chao-jung)の一環です。
日時:2024年11月5日(火)17:00~18:30
場所:東京大学本郷キャンパス、法文2号館・第三会議室(University of Tokyo, Hongo Campus, Hobun 2 Bldg. Meeting Room 3)
講師:Étienne de la Vaissière (Professor, École des hautes études en sciences sociales, Paris/EHESS)
題目:“A commercial koinè or an Abbasid Urdu: a historian’s reflection on the origins of New Persian in eighth-century Marw”
(商業のためのコイネーか、アッバース朝の『ウルドゥ』か:8世紀メルヴ・オアシスにおける近世ペルシア語の誕生に関する歴史家の思索)
<講演概要>
中世ペルシア語から近世ペルシア語への移行に関してはこれまでに膨大な研究史が積み重ねられてきました。言語学者ならぬ私は、イラン高原北東部の言語景観を大幅に書き換えたバクトリア語文書の発見や、8世紀ホラーサーンの社会とエリート層に対する我々の大きく改善された理解を用いて、この一大変革に関する歴史家からの視点を提供してみたいと思います。まず、サーサーン朝末期のイランの言語に関する、イブン・アル=ムカッファア(720年頃~757年頃)に帰されるテキストを解釈すべく、中央アジアのいくつかのオアシス都市、とくにメルヴの歴史的、政治的、文化的環境を検証します。それを通じて、近世ペルシア語が、在証されていない、ある中世ペルシア語北東方言の後継者であるという、これまで支配的であったGilbert Lazard氏の仮説を再検討し、一方で、その初期段階において近世ペルシア語は商業目的のコイネー(共通語)あるいはクレオールであり、シルクロードの最盛期に、商業のためのリンガ・フランカであったところのソグド語の地位に取って代わった、というBo Utas氏の仮説を再評価したいと思います。
私の考えでは、軍事的・政治的環境から見て、近世ペルシア語が生み出された場所として最も可能性が高いのがメルヴ・オアシスです。それは、初期のアッバース朝軍の日常言語であり、その後、イスラーム帝国下で新興エリート層を他と峻別するための指標となったのです。それは『シャー・ナーメ(王書)』の登場よりもずっと前のことでした。
▶ 聴講をご希望の方は、守川(tomomo[@]l.u-tokyo.ac.jp)までご一報いただければ幸いです。事前配布の資料をお送りします。
奮ってご参加くださいますようお願い申し上げます。
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