2025年05月21日

【お知らせ】KUASUセミナー『当事者としてのヤングケアラー問題』を実施しました。

京都大学学際融合教育研究推進センターのアジア研究教育ユニット(KUASU)セミナーの一環として、ノンフィクション作家・林真司氏によるZoomセミナーを開催しました。林氏は、統合失調症を患う母親と共に生きてこられたご経験をもとに、10代のころからヤングケアラーとして直面してきた現実について語ってくださいました。

当時の精神保健措置制度は、福祉制度として位置づけられておらず、支援体制の乏しい中で、林氏は家庭内で母親のケアをほぼ一人で担わざるを得ない状況に置かれていました。そこでは長期にわたる家庭内ケアの重圧、社会からの孤立、制度からこぼれ落ちる当事者の実情が浮かび上がりました。

本セミナーでは、林氏が数十年にわたりケアを続けるなかで経験してきたこと、感じてきたことを軸に、精神障害に対する福祉制度や医療制度の限界、地域福祉の課題、そして現在ようやく可視化されつつあるヤングケアラー問題の本質について、多くの示唆を頂きました。