2016年01月07日

【お知らせ】アジア経済発展論研究会開催(1/21(木))→終了しました

 

標記の「アジア経済発展論研究会」を開催いたします。 ご関心のある方はご参加ください。

日時:2016年1月21日(木)17:00-18:30
場所:病院西地区(薬学部構内)東南アジア研究所 稲盛財団記念館
2F(I201)東南亭(下記地図37番のビル北端)
http://www.kyoto-u.ac.jp/en/access/yoshida/pharmaceutical.html

発表者:池田真也(九州大学大学院工学研究院 学術研究員)
論題:「ジャワの抑制する農業発展:スーパーマーケット革命と隠れた商慣行」

要旨: 途上国一般でスーパーマーケットが形成する新たな流通は、従来支配的であった 伝統的な卸売流通ではなく、産地の出荷業者との売買契約により成立し、節約さ れた中間マージンと高価格取引で生産者をより豊かにする。そのため、ジャワの 農業生産を支える小農がスーパーマーケットとの契約生産へ円滑に移行すること は農業発展の重要な課題である。しかし、これまで流通を支配してきた産地、消 費地の商人を無視した農業発展は本当に可能なのだろうか。本研究では、ジャワ 島の青果物の伝統的流通に着目し、インフォーマルな卸売制度と、産地における 小農と商人との伝統的な商慣行の仕組みを計量的に分析して、その代替可能性を 検討した。分析の結果、卸売市場は参入者の登録制などの制度が欠如しているに も関わらず商人の分業が進むことで機能しているが、効率性は認められず、新た な流通への代替が示唆された。一方で産地の労働慣行として知られた、トゥバサ ンと呼ばれる収穫前販売契約は、家計労働に頼れない小農に利するとともに、迅 速な青果物の評価と確保を可能にし、スーパーマーケットの産地サプライヤーと 小農を結びつけていた。しかし、農業組合を通じた共同出荷やスーパーマーケッ ト側による生産補助など、小農の資源制約を緩和する組織形態が広がれば、商人 を介さない直接的契約の方が小農に利することが示唆された。小売主導の新たな 市場形成は伝統的な流通に代替する、より優れた均衡への望ましい発展である が、少なくとも現状のジャワにおいては、伝統的な流通の商慣行がスーパーマー ケットの急進に適応し、それに雲隠れしながら小農の市場参加を支えているので ある。

言語:日本語

研究会幹事:
東南アジア研究所 三重野 mieno-lab*cseas.kyoto-u.ac.jp(*を@に変更してください) 075-753-7311
経済学研究科 矢野
経済学研究科 高野